みその雑記帳

乙女ゲームとか

【ピオフィオーレの晩鐘-ricordo-】感想〜ダンテ・ファルツォーネとニコラ・フランチェスカという男について〜

⚠️注意⚠️


こちらの感想は、

ピオフィオーレの晩鐘-ricordo-全ルート・全エンディングのネタバレを含むものとしてご覧下さい。
また、ダンテ√、ニコラ√の感想と言うより、ピオフィオーレの晩鐘全てをクリアした上で感じたダンテ・ファルツォーネとニコラ・フランチェスカという男たちについて話しています。さらに言えば、1926は未プレイですのであくまで、ricordoまでの感想となります。優しい目で読んでください。

 

 

 

前置きが長くなりましたが、始めます。

 

 

 

 

ダンテ・ファルツォーネとニコラ・フランチェスカという男について

 

 

本当はダンテとニコラ分けるつもりだったんですけど、どうしても切り離して語れなかったので...その分長いです。なにせ2人分なので。

それと私、推しはニコラ・フランチェスカなので、少し偏ってるかも知れません。その辺もご了承ください。

 

 

まず、ニコラについてなんですけど、ニコラ√のBAD ENDを見るに、依存体質的な所がもともとあって、リリィに出会うまではその対象が、ダンテだったんだなと思いました。
「血の繋がりのない者は容易く裏切る」って言っていたあたり、ニコラにとって血の繋がりのあることって、それなりに意味があることだったんだろうと思います(まあここのセリフはリリィに対する意図的に発した嘘だったかもしれないけど)。

さらに彼を構成してる世界ってほぼブルローネ、もっと言えばファルツォーネファミリーで完結していて、彼のこの狭い世界ではダンテが特別になるのは当然だと感じました。血のしがらみから解放する云々以前に、ダンテのためなら命すら惜しまない。本当に自分の命を安くみているよ.......まあそれがニコラ・フランチェスカなんだけど......能力的にも、ダンテの兄(代わり)としても、代わりができる男なんていないはずなのに本人は全くそう思ってないのがまた...血の繋がりは裏切らないとか血のしがらみからは解放させたいとか、ダンテが言っていた通りニコラの方がよっぽど呪いのように血に縛られていて

本当にめんどくさい男だなと思った(褒めてる)
でね、だからこそ、ダンテのためじゃなくリリィのためそして自分自身のこれからのためを思った「望んで人を殺したことなんてなかった。だけど、君のことは心底殺してやりたいと思ったよ」って言葉の重みに震えたし、この言葉がリリィに対する「愛している」以上の愛の言葉だと思えてならないのよ.........

 

それと、ダンテもニコラを失ってしまうと他者に依存的になってしまうっていうのが良い。

ダンテは「俺には【定め】がみえている。だから迷わず進むしかない。それだけだ。」って話していて、今のダンテにとって使命は、逃げるとかそういう話のものではないんだと思うんです。

それにね、作中でも触れてたけど、ニコラ曰く、"御伽噺のような奇蹟の伝説"をダンテが心から信じていたのではなく、使命そのものがカポとして立ち続けるために必要だったんだと思う。そしてね、その話を平等にダンテの父親から聞いていたニコラの存在もまた、ダンテにとっては心の拠り所だったんだと思うのです。1人だったらその重責に耐えられなかったかもしれないから。そして何より今も昔もカポじゃないただの"ダンテ・ファルツォーネ"を見てくれる人だから。だからこそ、ニコラを失った途端にこれまでの、カポとして正しくあり続けるダンテ・ファルツォーネが崩れてしまったんじゃないかと思います。使命を真っ当するなら、自分が死ぬこと(=血が途絶えること)は避けなければならないのに、オルロック√ではその判断ができなくなってしまっていたので。

 

そこで、オルロック√BAD ENDをしたいんですけど、ニコラを失ってからもダンテはニコラに執着してるように感じました。

彼の復讐はオルロックが生きている限り終わらないはずなのに、終わらせないんですよ......

だって終わらせてしまったら、ニコラのためにできることがなくなってしまうから。もちろん、オルロックに大切な人が奪われる気持ちを味あわせてやりたかった、という思いもあるんでしょうけど......

あと、ダンテ√のBAD ENDでも、唯一残った目覚めないリリィに縋っていました。ニコラを殺したのが彼自身だったのもまたつらい。うん、ダンテは何があってもリリィだけは殺せないんだろうな......ここ、1926でもちゃんと貫かれてるよね......信じてるよ......
ちなみにギル√でニコラを失っていても、ヴィスコンティや老鼠との繋がりを得て、ファルツォーネの秘密も知られているのでニコラに執着する理由があそこまでないのかなと思うので納得できた。あくまで、ニコラもダンテもファルツォーネという狭い世界で生きてきたからこそ、互いが何ものにも変え難いたった一つの拠り所になってしまったのだと思う。

うん、ここ、 ニコラとの血の繋がりを強く感じてとても良いです!!!

 


だからといって全てがそっくりな訳ではなくて...ニコラの方がダンテより100倍めんどくさい男なわけなんですけど......

 

ダンテは「心を殺して平静を装うのが精一杯。父さんにもニコラにも遠く及ばない」と自己評価しているのですが、これってニコラの方がカポに向いていると言うよりは、ダンテの理想としているカポがニコラや父親のような男だからではないかなと思うんです。自分がカポになってから、老鼠が勢力を上げたと言っていたけれど、先代が急逝してごたついてたらそこに隙が生まれるのは当然です。だから、例えニコラがカポになろうが結果は同じだったと思うんですよ。

ダンテが思う以上にカポの器が彼にはあると、誰よりもニコラが思っていたように、能力的にも何も問題はないはずなんですけど。ダンテには劣等感というか、ニコラに対して自分もああいうふうに立ち回れたらって言う憧憬に近い気持ちを持ってるんじゃないかな。

それでもね、ファルツォーネの使命を守る上においてもカポとして相応しいのはやっぱりダンテだと思うのよ。直系だからっていう血の話ではなく、その使命を純粋に、紛うことなく全うする覚悟を持てるかという点において。

 

対してニコラは絶対それができない。そもそも彼は、教国が自分たちのようなマフィアを抱えていることそのものに疑念を抱いているでしょうし、権力の維持のために教国も悪いことをしてもおかしくないとも話してました。ニコラ自身も同じようなことをファミリーのためにしてきているのでそこは何の疑問も抱かずに理解できるんだと思います。(ここ、ニコラ・フランチェスカという人間性が出ていてめちゃくちゃ良いです)

だから、彼にしてみたら、本当にあるかも分からない伝説やそんな伝承なんかのために庇護してくれる胡散臭い教国よりも、よっぽど弟のように思っていたダンテの方が大切に思うのはわかる気がするんですよ。

ニコラがもし直系(まあほぼ直系なんだけど)だったら異なる価値観を抱いていたかもって考えてみたんですけど、私の中のニコラ・フランチェスカが「そんな仮定に意味なんてないよ。僕がカポになるなんてありえない。」って言ってるので、そう、きっとないんですよ、ニコラの中で自分がカポになる未来って。彼の考え方や人生の全てが、ダンテが生きていること前提なので。ニコラ√BAD ENDではダンテを失っていてカポになったけど、壊れている自覚を持ちながら、まだ堕ちようとしてくれているので、やっぱりニコラが真っ当にカポになることはありえないんだろうなぁ...

 

このままニコラの話を続けるんですけど、自分の懐に他人が入ることを嫌うっていうのは、他人に情が湧かないように自衛するためでもあるし、相手を傷つけないための彼なりの優しさでもあると思います。

自分を知られないようにすることは、彼がマフィアとして割り切って生きるために必要なことだったんだと思うけど、それってつまり他人と真正面からきちんと向き合ったことがないってことだから......ニコラは自分にさえ嘘をつき続けてきたんだと思えてならない。人から冷酷な人間だと思われることで、自分自身の本当の性質をそう思い続けてきた。

でも本当は誰よりも自分のことを誰かに知って欲しかっただろうし、人と関わりたい人なんだと思います。ロベルトと初めて会った時だって嫌がらず街を案内しているし、世話好きというのは本当だと思うんです。じゃないとあんなにもダンテのことを想えないと思うのよ。ニコラが何歳から構成員として働きだしたのかわからないけど、マフィアとして生きる覚悟を決めたからああいう人間性になったんだと思う、ならざるを得なかったんだと思う。だからこそ、マフィアになる前の、小さい頃から心を許してきたダンテに固執してしまったんだろうけど、

人と向き合ってこなかったのはダンテに対しても同じだったから、彼に対する想いも行動も、全部独りよがりになってしまったんだと思う。
父親に縋るダンテが彼の母が死んだ時に見た姿と重なって見えたり......それだけじゃなく、エスプレッソが飲めなかったり、甘いものが好きだったり、小さい頃のまま大きくなった部分もダンテには沢山あって、ニコラの中にいるダンテは自分の横で大人の前では我慢した涙をぽろぽろ流す小さな子供のままだったんじゃないかな...

ダンテ√のBAD ENDで使命の放棄は望んでいないと言うダンテにニコラは「いいや、君が望んだんだ」って言っていたのも、小さい頃に「ここから出たい、マフィアなんて嫌だ」って泣いていたあの一言からなんじゃないかな......そうだとしたら、ダンテはあの時のままで、あの時の感情を今も持ち続けているとニコラは思っていた、いや、思いたかっただけなのかもしれない。だから、ニコラ√でリリィに「ダンテが本当に望んだことなの?」と問われた時に悲しそうにしていたんだと思います。

彼らって互い言葉にしなくてもわかることが多いっていうのは間違いなく事実なんだけど、自分のことになると途端に疎いんですよね。ダンテはニコラの裏切りの真意が分からないし、ニコラはダンテがすぐに粛清しに来ると思ってるし。ニコラ自身も「ダンテのことが絡むと平静を保てなくなるみたい」って自覚していたけど。近すぎて分からなくなってしまってることも、わかると過信したまま話し合ってこなかったことも、大切すぎて真正面から話し合うことすら怖かったのかもしれない。ニコラ√BEST ENDではダンテがニコラを兄のように思っていたことを初めて知ったと会話していたので、本当に2人は言葉が足りなかったんだなと思う。そういうツケが全部ダンテとニコラルートでは回ってきていて、見ていて本当につらかった。

オリヴァーが「ギルバートが言えば自分にNOという権利はない」と呆れながらもギルの行動を甘んじて受け入れている姿を見てニコラは「いい関係だね、すごく」って言ったMSがダンテ√GOOD ENDにあったはずなんですが、

切なすぎてしばらく私の思考が停止した。

ギルとオリヴァーの信頼関係って、能力の高さを互いに認めあってるからでもあるけど、血の繋がりがないからこそ、言ってくれなきゃわからない関係だからこそ、腹割って話し合って得てきたものだろうし、本当に信頼しあってるんだと思うんですよ。なにより、オリヴァーのギルに対する忠誠心と信頼は、そこまで割りきることのできなかったニコラからしたら羨ましかったんじゃないかな......血の繋がりがあるからこそ、ダンテに対して忠誠心以上の兄としての感情が捨てきれなくて、ダンテを縛るものを受け入れることなんて到底できなかったわけだからさ。

 

あとニコラってゲーム的なパラメーター(好感度とか)関係なくダンテに対する想いを話してくれるじゃないですか。だから、ニコラ自身の話をするのにダンテ・ファルツォーネという存在って絶対に必要で、ニコラの人間性がダンテによって形成されたと言っても過言ではないんじゃないかなと思うんです。

対してダンテは、BAD ENDに進まないと右腕以上の、唯一ダンテ・ファルツォーネでいられる場所だったっというニコラに対する深い想いを話してくれなかったと思うんです。

すごくそれが2人の差だと思っていて。ダンテはどのルートでもリリィを殺さないけど咄嗟にニコラは殺しちゃったし、ニコラはルートによってはリリィを殺そうとするけどダンテは絶対に殺さない。リリィに対する気持ちの差もあると思うけど、

お互いが本当に大切なのは変わらないのに、こうやって見るとほんの少しのズレがある。

それがすれ違いに繋がって、なんだかすごく胸に来るものがあります。

 

うん、だからオルロック√で、ニコラを看取るダンテが見られたのはめちゃくちゃ贅沢だよな.....始めはダンテかニコラ√しか行けないから、オルロック√前にはどちらかは必ず通ってきた道であって、そんな私たちにあれを見せつけるなんて人のすることじゃない.......(褒めてる)

 

あとこれで最後なので言わせて欲しいんですけど

ダンテ√のニコラ、リリィに対する配慮のなさがものすごくニコラ・フランチェスカたる人間性を表していてめっちゃ好きです。目的のためならああも冷たくできる...わざと傷つける言葉を選んだって言ってたけどこの人、どう言ったら傷つくかとか喜ぶかとかそういうこと考えて生きてるんだろうな......
ものすごく個人的な嗜好になるんですけど、ダンテ√のニコラはリリィに「君のことは心底殺してやりたいと思ったよ」って冷たい眼差しで言い放ちそうな勢いだったので、

むしろ言って欲しかった。

まあダンテ√で殺されそうになりましたけど。

 

 

ものすごく長くなってしまったのでこれくらいにしておきます。ピオフィオーレの晩鐘個人的にめちゃくちゃ楽しんだので、この勢いで1926やりたいなと思います。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

それでは👋

 

1926終えたあとにこの感想文読み返したら恥ずかしさで死んでいるかもしれない.......